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浄土真宗本願寺派


住職の池田行信です。
宗法改定論ノート[19]     2017年 02月 22日

3、候補者の所信
 武田総長は「宗告第三号」及び「総選挙に当たって」にて、今回の宗会議員総選挙は「宗門総会の創設とこれに関連する宗会自体の体質改善」の可否について、広く門末の総意に問う、と説明した。当然、総選挙の争点は「宗門総会案」と「宗会自体の体質改善」の可否にならねばならない。
 六十四人の立候補者は、この「宗門総会案」と「宗会自体の体質改善」について、どのように語ったのか。
 選挙戦では、前議員のほとんどが「宗会報告」のプリントを出し、元議員も新人も立候補の挨拶状に「宗門総会案」の可否をかかげていた。(『中外日報』昭和三十七年四月十九日)
 六十四人の立候補者中、四十九人が『中外日報』(昭和三十七年三月三十日)にその所信等を掲載した。その四十九人の立候補者の所信等を一読すると、三十六人が「宗門総会案」と「宗会自体の体質改善」に言及している。新人では十九人、前議員では十四人、元議員では三人である。『中外日報』に所信等を掲載した四十九人の約七十三%、六十四人の全立候補者の五十六%である。
 この七十三%、及び五十六%の数字から、「宗門の選挙」は選挙の意図とは必ずしも関係なく行われていることが知られる。(註㉞)
 「宗門総会案」と「宗会自体の体質改善」に言及した三十六人の候補者の関連する所信等は、次の通りである。

◇第一選挙区(北海道教区) 宮崎乗雄(前)
(先ず行政の刷新を期すべし)
大遠忌法要後の最重要課題として宗門を挙げて待望したことは、強力な宗務刷新の実行であった。長い過去の因習の殻を思い切って打ち破り、新時代内外の切実な要望に応える宗門第八世紀の歴史の踏み出しに当たって、斜陽教団の不面目を一蹴し、正に清新溌剌たる宗門への回生策が真剣に検討されるべきである。これがためには、機構制度の改革もさることながら、先ず行政の強力な刷新が先決要件であり、本末一体、明るい希望に燃えた、強い信頼感の上に結び合っている宗門を蘇みがえらせることが必要である。当面私は行政刷新の目標として次の四項目を提唱し、その速やかな実現に向かって懸命の努力を尽くしたいと念願している。
一、行政から政治性を排除する
二、地方分権を推進する
三、財政の根幹を確立する イ、宗費賦課基準の公正化 ロ、懇志制の拡大強化
四、宗会 教区会は僧俗二院制に分離する

◇第一選挙区(北海道教区) 笠島賢昭(新)
(前略)
④御本山は泥沼政治で疲れ切っています。新風は人事の刷新あるのみであります。特に将来を担うべく憂いと混迷に満ち満ちている青年僧の結集と、その意思実現のため粉骨砕身致します。
 (以下略)

◇第二選挙区(東北教区) 岡部実城(新)
(信条)
一、宗会を同朋教団本来の宗会たらしめたい。
 (以下略)

◇第三選挙区(東京教区) 遠山正欽(新)
 (信条)
僧侶議員と門徒議員の選出方法が異なるにもかかわらず、両者の権限が同じであることについて、疑問をもっております。そこで過去二回にわたって、僧侶議員を教区会議員による選挙で選出することを骨子とした〝選挙法の改正〟を建白してきました。が、今回の解散で実現せず、まことに遺憾に思っております。初志を貫徹したく立候補した次第です。

◇第三選挙区(東京教区) 高辻恵雄(前)
(前略)
二、今回立候補の理由
この度の総選挙は去る定期宗会に於いて、当局が僅か三カ月の間に三度も変更される様な無定見極まる未熟な宗会機構改革案を強引に通過せしめようと計ったのに対して、これは宗法、宗規といった宗門の憲法を改正しなければならぬことでも判るように、宗門構成の根本を変えることにもなる重大な法案であるから或る程度の期間をかけ充分に宗門内の世論を聞き、審議をつくして大体の意見の一致を見た処で、時の当局が立案して提案すべきであるとして現当局の策した未熟な案の強行通過に反対した我々の態度を当局不信任と解釈して解散した結果の総選挙である。よって私は宗会に於ける行動に対して選挙区内有権者諸師の公正なる判断を仰ぐために再び立候補した次第である。

◇第三選挙区(東京教区) 下河辺弘毅(新)
 (公約)
 (前略)
一、派閥の解消
 (以下略)

◇第八選挙区(高岡教区) 海老坂精宏(新)
 (念願)
一、親鸞精神を如実に宗政の上に具現前進せしめたい。
一、同朋教団の真面目を教団の末端にまで浸透徹底して血の通った宗政を確立したい。
一、清新なる熱情と善意をもって社会の各階層にも他教団人にも信頼と共感のもたれる如き宗政の実現が好ましい。
一、教団教区の代表として宗会議員は静かに万人の生(なま)の声をよく聞きよく知りよく見て温情と重厚をもって真摯に宗政を運営したい。

◇第九選挙区(石川教区) 日谷周暎(新)
 (所見)
一、教学の振興と伝道教化を中心とし、独善的政策の是正と門末一体、相互扶助態勢の確立を目的とす。

◇第十選挙区(福井教区) 荻 諦忍(新)
 (私の立候補した目的)
一、明るい選挙で宗門刷新の第一歩を踏み出す。
(中略)
 (私の信条)
一、念仏者として恥かしくない明るい選挙を致します。
(以下略)

◇第十一選挙区(岐阜教区) 三宅晃允(新)
 (所見)
(前略)
一、時代の推移に伴う教団の体質改善を強力に推進すべきであるが今回の宗門総会案は慎重に検討したい。
(以下略)

◇第十一選挙区(岐阜教区) 田中英世(新)
 僧風刷新の為の教育制度も確立
私達は教化を第一義とする教団に属していながら、その対象である門信徒から浮き上がってしまっている今の自分達の立場を忘れて、機構いじりに終始している事はナンセンスです。機構制度を運営する僧自体の、自覚がなければ、その目的を達することは出来ません。現在の寺院生活者にその点を期待してもとても駄目です。宗風に背反する日々―極端な例ですが、私は立候補以来、生命の危険に関するドウカツ的言辞や、赤新聞にて私行をあばくという強迫的投書を受けとっています―寂然たるおもいで一杯です。又そうした行いを選挙だから当然だと容認するオソマツなムードの満ちあふれていることを否定出来ないこの現実。宗団百年の大計は、まづこうしたムードを払拭する為に寺院生活者の為の定期講習を、そしてその受講の責任化を・・・。次に次代を背負う寺院子弟の教育の為の制度の確立を目指したいと思います。真面目な僧伽を形成し、人類永遠の福祉に貢献したく思います。

◇第十二選挙区(東海教区) 藤沢実晟(新)
 (所見)
宗議会(ママ)解散と言う未曽有の事態に逢着した我が教団は、今や重大な曲がり角に立たされました。憂宗護法の熱意に燃える者ならば今こそ立ち上がり、愛する教団をして一大脱皮を敢行せしめ、真に大衆と共に生くる御同朋教団として再出発せしめねばなりません。(以下略)

◇第十三選挙区(滋賀教区) 芝原郷音(前)
(所信)
一、欠席戦術等を用いない宗門議会らしい宗会の運営に努力する。
 (中略)
三、現在の宗会を初め宗門機構全般に亘って真剣な検討を加えて、実践力のある有為な人材によって宗門が運営せられる道を講じ本末一体の上に真の同朋教団の実を挙げ得るよう努力する。

◇第十三選挙区(滋賀教区) 石原了進(元)
(信条)
一、今時解散の山場となった宗会機構変更案、着想としては真に結構であるが、これが審議の方法は、与野党共、実に拙劣であったというそしりはまぬがれまい。しかし、この案が、より多くの声を聞く事によって、宗門を飛躍的に前進させるためのものとあれば、私は、あくまで支持の立場に立たざるを得ない。
二、次に、近時、所謂、一般の政治屋と、宗門行政にたずさわる者との区別が、どうもはっきりしない。この点をはっきりさせて私は、宗門躍進のため、全生命を打ち込みたい。

◇第十三選挙区(滋賀教区) 那須凌嶽(新)
(信条)
一、政権の争奪をめぐって、派閥抗争と化しやすい宗会制度の欠陥を是正。
(以下略)

◇第十三選挙区(滋賀教区) 藤本恵順(前)
 (出馬の弁)
(前略)大遠忌後七百一年に前進する宗門が宗会組織の大革新案を提出したが、与論に基くものが与論に反対せられているとすれば正に異状体質である。原因は色々ある、宗門を挙げて反省すべきである。早く常道に戻し正しい強い宗門本来の面目を発揮すべきである。宗門行政は超党派の和合僧でありたい。派を作るなら各派でまじめに常に宗政研究を行うべきである。ぶっつけ本番で賛否を出す事は甚だ危険である。

◇第十四選挙区(京都教区) 中山正信(新)
 私は真宗十派の合同を建白する
真宗の信仰は全く地に落ち、宗門の将来は絶望といわねばならぬ。宗会が現在の宗政にのみ浮身をやつし、百年の計を忘れて居るのは、全く近視眼といわねばならない。信仰の盛衰は偏に僧侶の手一つにあり、そのため人材養成の大切は論を待たぬが、優秀な人材と雖も現在の無力な寺院組織の中では手も足も出ない。是非数カ寺ずつ統合して「全寺院を揃って存在価値あるもの」としなければならぬ。
(合理的方法あり)然しこれを一派のみ行っても効果無く、是非共十派が全部歩調を合わす必要がある。本派には建白と称する進歩的制度あり、委員会が責任ある審議をするから、私は理を尽くし之を動かす所存で「本山の中に議員全部を以って構成する合同促進研究会を作れ」というのです。(以下略)

◇第十四選挙区(京都教区) 清水祐之(前)
 (私の主なる方針)
宗門は同一信仰者の結合団体であるという特異性の上に立って総ての施策がなされなければならぬ。七百一年の飛躍期に直面して宗会議員立候補者として左の声明をいたします。
一、教学第一主義の使命達成
二、宗務刷新と強化
(以下略)

◇第十四選挙区(京都教区) 神田達円(新)
 (私の立場)
昨年の大遠忌をピークとして宗門の将来は一歩誤れば、或は下降の一途を辿るに非ずやと憂慮されるものがある。この非常の時に当り教区内同憂の士に推され愛宗の念止み難く出馬したのである。宗門総会案の如きもその一つの現われといえよう。この案の是非は暫く措くとして宗門の将来を賭けるような重大な問題は、全門末の意見を十二分に聞き、全議員一致の下、もっと時間をかけて慎重に答えを出すべきものと考える。従って私の政見として。
一、教区内全門末の実情とその真実の声を声として宗会に反映させたい。
一、過去三十年の布教生活の経験を生かし、宗門刷新の中心と目される教化第一主義政策も単なる題目に終わることなく強力に活動させたい。
(以下略)

◇第十七選挙区(和歌山教区) 湯川汝劼(前)
 (所見)
一、宗門が宗門としてあるべきようの姿に向けたい。

◇第十八選挙区(兵庫教区) 機谷昭嶺(前)
 (所信)
宗門の特異性にしっかりとした基盤をもち、宗門繁盛にもつながる宗務刷新の早期具体化を期す。

◇第十八選挙区(兵庫教区) 寺田義淳(前)
 (私の公約)
(前略)
一、善意による多数、明朗にして親近感溢るる宗会制度の確立。
(以下略)

◇第二十選挙区(四州教区) 後藤敬三(新)
 (私の抱負とその信条)
一、所謂「宗政」は教団全体の期待に添うものであること。
二、古人は「十年先のためには、木を植えよ、百年先のためには、人を育てよ」といいました。教団にとって、人材の養成が一番の緊急事ではないでしょうか。
三、私はこの際、宗門実態の調査以前に、宗門の白書を教団全体に公表すべきだと思います。

◇第二十二選挙区(安芸教区) 永野鎮雄(前)
(信条)
現行の議会制度が教団内大衆(僧俗共に)の意志を反映して居らないと断ずる事は早計であろう。選挙の制度が悪いのではなく、個々の選挙自体に倫理性が欠けているからである。特に宗門関係者らしい、きれいな選挙が行われる事が何よりも先決である。提案された議会制度案(宗法改正案)が特に不適当だとは思わぬが、教団の存立に重大な意義を持つ議会制度の改革を急ぐことは拙速の難をまねがれぬと思う。教団の永い将来の命運に関することは、当局も議会もゆっくり時間をかけて、肩を張らない姿勢で検討を続けるべきである。

◇第二十三選挙区(山口教区) 有馬清雄(前)
(信条)
一、宗務刷新の早期具体化。

◇第二十三選挙区(山口教区) 柏 宗英(前)
 (信条)
時代の要望に応えて一大刷新は当然やらなければならないが、皮相のトメを合わすことを急がず。(以下略)

◇第二十三選挙区(山口教区) 伊藤義賢(新)
一、一向専念の宗意安心もわからず、寺院生活の苦痛も解しえない上に、神棚をもち屋上にも神祠を祀り、神社にも仕えるような俗人の代表までも集めて宗門の議決機関を構成せしめんとするは宗門後退の根元である。門徒には別の外護機関を作るべきである。
二、勧学寮と龍大には多年に亘って宗義安心を根本的に破戒しているものが多々いると指摘されながら(詳細は既呈の『落日の法城』に)全然蓋をして門末をごまかし通して大遠忌をおえ、なお反省しないで今後ますます法義を盛んにし、教化第一主義で進むというに至っては矛盾も甚し仏祖無視の態度であり、宗門と寺門を後退せしめた主要原因である。
三、伝えきく一票数千円と。かかる行為には寸効なきことを徹底のために投票しな  いことを誓われたい。宗門の恥辱だからである。
四、宗門浄化と画期的向上発展のために立候補しました。有権者各位の御支援をねごう。

◇第二十四選挙区(北豊教区) 徳永敏雄(新)
(信条)
親鸞教団七百一年以後の教団の運命を決すべき今回の宗議選に立候補し、教団の前進態勢に心魂を打ち込んで協力しようと期する私の信条は次の通りであります。
一、親鸞聖人の念仏の教えの上に在る教団であるから、あくまで数珠をかけ、聞法しながら、与党、野党等の考えや、言葉さえも抹消して厳爾(ママ)かつ清潔な宗政が行われる様尽力したい。
二、過去の教団の悪因縁である、門閥、派閥を絶対解消して、愚禿親鸞の示す新鮮かつ万人の救われて行く同朋教団として、苦悩と争剋(ママ)多き現代に適応し得る宗政を確立し、歴史を貫く本願寺教団を現代に活現したい。
三、総務病患者議員、名利のみの無能議員を撲滅し、立法府の一員として、いつまでも謙虚に勉学研鑽に努力したい。
四、現在まで本山、末寺の連携は真に不十分である。十二分に意志が通い合って、協力一致、相共に愛山護法出来る様務めたい。

◇第二十四選挙区(北豊教区) 坂本暁雲(新)
(所見)
去る定宗に於ける一部宗政実力者を以て自ら任ずる輩は余りにも宗門末寺を眼中に置かず、そのすべてが次第相承の善知識として仰ぎたてまつる現御門主の思召の程を考える事もない。我見と我慢を通さんがための集団行為には公憤を湧かせずにはいられぬ。七百年大遠忌に値遇の身として永い間沈黙を重ねて来たが此度という此度は座するに忍びず立ち上がった次第です。政見としては念仏以外に何物も持たず、強いて箇条に顕さば左の如し。
一、宗会は名利心を養う温床でなくどこまでも厳護法城正法宣布を生かす機関たらしむべき事。
一、人間愛に生きぬかれた祖師の高教を信奉して報謝行に邁進すること。
一、宗会議員旅費日当を進んで返上報謝行のモデルとして勇んで敢行するべし。

◇第二十五選挙区(福岡教区) 渡辺静波(新)
(一)政権の争奪を廻って派閥的抗争の(ママ)化し易い宗会制度の欠陥を是正すると共に、宗門の総意を反映し、教学振興の場たらしめる為の宗門総会の実現に努めたい。
(以下略)

◇第二十五選挙区(福岡教区) 下川弘義(元)
(出馬の弁)
一、大遠忌に名をかりて、勝手に議員の任期を延長し、その最後の宗会に於いて、宗門百年の将来に、重大な影響を与えるマンモス宗会案を提出し、解散を賭して是が通過を強行せんとしたる、当局及び、賛成議員は、政治責任を何と考えているのか、吾々門末が代議権を委託したのは、卅六年七月までだった。この点を思い謙虚に反省しかくの如き重大法案審議の権利は与えられていないと主張した議員が一人あったであろうか?門末を軽視するのも甚だしい。
二、宗門正常化の根源は総長選挙にある。この根源を改めざる限り、権力争奪戦の醜状は、永遠につづく、かるが故に総長選は宗門投票にせよ、候補は御門主が三名公示されるがよい。選挙は二週間以内の郵便投票。かくて権謀術数の手の届かない所で総長が選出される様になると、枝末問題はおのづから、正常化してくる。門末の平素に於ける関心も高まる、親近感もでる。

◇第二十八選挙区(長崎教区) 神田寛雄(前)
今期立候補する私の課題は宗務刷新の美事な結実を期し慎重に対処すること。
(中略)
二、血の通う本末関係の樹立 下意上達、上意下達共に正しくなめらかに。
(以下略)

◇第二十八選挙区(長崎教区) 中山憲雄(新)
 (宗政意見)
一、宗務刷新案の再検討(諮問機関構成メンバーに末寺住職を加える)
二、宗門の生命である布教教化伝道中心の宗派政策を推進する
 (中略)
八、宗会や宗務所に念仏を

◇第二十九選挙区(熊本教区) 工藤義修(前)
(私の主張)
一、宗会機構の改革は、先ず宗門教育を徹底せしめ、真の与論の帰結を俟って、実施すべきで、拙速案は取返し得ぬ、禍根をのこす。
一、宗政上政治性が、教化に優先する弊害を退け、教化第一義の信念を貫く。
 (以下略)

◇第二十九選挙区(熊本教区) 内田寧麿(元)
 (私の所信)
この度の宗会解散の理由は宗会機構の改革案に規定人員の賛成を得られなかった事にあるが、勿論現行の宗会制度には改革を必要とする点があるが、この重大な改革案には全宗門の意見を十分に聞いて慎重に研討(ママ)する必要がある。
一、当局提案の宗門総会案には賛成出来ない。総会議員に与えられた権限が総長選挙と宗会議員の互選だけにある位ならむしろ現在の教区会を重視して全教区会議員にその権限を与えれば、多額の経費を要しないで事は足る。
二、賦課金が一躍二、四倍に増額されたが、今度の改選でも滞納者が多くて有権者は極めて少ない(註㉟)。むしろ滞納を奨励することになりはしないか。

◇第三十一選挙区(鹿児島教区) 太田淳昭(前)
(立候補の辞)
宗会議員選挙法変更案は単なる選挙法の変革だけを意味しているものではない。代議制と宗会制とを混淆した変革案は行政、立法、司法の八十年に亘る宗門の憲政を破壊するものであり、一面に於いては宗務当局の独裁となって極右化し、他面、宗会の急進社会主義的独裁専横となって極左化する危険を多分に蔵するものである。更にまた、宗門総会に与えられた機能は、総長並びに宗会議員の選挙が重なるものの様である。これではこの総会はやがて選挙団体化することは必定であって、宗門を闘争の渦に巻き込むことになる。成立を阻まれた当局は敢えて解散を断行して、その可否を門末に問うたのであるが、有権者はその約半数が選挙資格を喪失している現状である(註㉟)。真の公正なる選挙の期待出来る筈がない。しかし、慎重なる研究審議を以って適正なる選挙法を作成する事は我等全宗門人の、そして宗会議員の重大なる責務となって来たのである。この責務を果たすべく、私はこの度の総選挙に立候補を決意した次第である。

                (以上、『中外日報』昭和三十七年三月三十日)

【註】
㉞総選挙の結果を『中外日報』は、「宗門の選挙は、政策を中心としてのものではなく、義理・人情とか財力とかの結びつきを中心として行われるものとの感を深くした。」と、次のように報じている。

 宗門改革へ漕ぎつくか(上) 注目される前議員の当選率
 解説 さる十日に行われた西本願寺の僧侶宗会議員選挙は、全三十一教区のうち、異議申し立てで開票をストップしている第二選挙区(東北教区)を除き、あとの三十選挙区は、十六日の第二十九選挙区(熊本教区)の選挙会を最後に、全部終了した。
 今回の総選挙は、さる二月二十二日からの第百四十二回定期宗会の幕切れで、現武田内局が解散権を発動したところから行われたもの。武田達誓内局が、大遠忌後の飛躍策として、宗務刷新を打ち出し、その基本線として提案した「宗門総会案」が、反対議員の欠席戦術で審議不能となったところから「宗門総会案」の可否を門末に問うため解散が断行されたのである。
 このため、選挙戦では、前議員のほとんどが「宗会報告」のプリントを出し、元議員も新人も立候補の挨拶状に「宗門総会案」の可否をかかげていた。しかし、選挙の結果をみると、前議員で立候補したものは「宗門総会案」への反対者も賛成者も関係なく、百パーセントの当選率(ただし、東北教区を除く 後日、前議員の当選が確定・池田注)をみせている。とすれば「宗門総会案」の可否を問うて行われた解散選挙の、そもそもの意図が果たされたとは言えない趣である。とともに、やはり宗門の選挙は、政策を中心としてのものではなく、義理・人情とか財力とかの結びつきを中心として行われるものとの感を深くした。(『中外日報』昭和三十七年四月十九日)

㉟内田候補のいう「滞納者が多くて有権者は極めて少ない」や太田候補のいう「有権者はその約半数が選挙資格を喪失している現状」とは、すなわち、各年度(年度末は三月末日)ごとの宗費を、その年度の十二月末日までに完納しないと選挙権・被選挙権ともに失格となる選挙制度で初めて行われる総選挙であったため、突然の宗会解散で立候補資格を失った前議員や元議員が多数あるとともに、選挙権を失った有権者も多数いたことを指す。(『中外日報』昭和三十七年三月三十日)



# by jigan-ji | 2017-02-22 01:02 | つれづれ記
宗法改定論ノート[18]     2017年 02月 21日

2、候補者一覧
 宗告第三号により僧侶宗会議員の総選挙は四月十日、立候補締切は三月二十二日となった。その結果、全国三十一教区中、十六教区が無競争となり二十三議席が確定した。残る十五教区で四十一人が二十二議席を争って選挙戦を展開した。(『中外日報』昭和三十七年三月三十日)
 『中外日報』は、無競争地区を含む「全立候補者六十四人」の色分けを、次のように報じている。

 新人三分の一占む
 ところで、無競争地区を含む全立候補者六十四人の色分けをみると、前議員三十人・元議員四人に対して、三十人の新人が顔を並べているのが注目される。この六十四人の候補者中、無競争で当確と確定したものは、二十三人であるが、これを色分けしてみても、前議員十四名、元議員二名にまじって、約三分の一に当たる七人の新人が、新議員として進出している。これはにわか解散で、立候補資格を失った前議員や元議員が多数あることや、選挙権の失格者続出から、選挙地盤が崩壊したため出馬を断念さざるを得なくなったものが次々に出るなど番狂わせが大きく影響している。とともに、七百一年を期して、宗門の若返りをはかろうとの意欲が表れたものともみられよう。いずれにしても、各年度(年度末は三月末日)ごとの宗費を、その年度の十二月末日までに完納しないと選挙権・被選挙権ともに失格となる現行の選挙制度で初めて行われる総選挙であるため、実際的には相当な矛盾が目立ち、混乱をおこす原因をつくっている。
 次に、全国三十一の教区が、十五の競争教区と、十六の無競争教区に分かれたが、北陸の五教区(国府・新潟・富山・高岡・石川)や中国・四国の四教区(山陰・四州・備後・安芸)が無競争になったのに対し、関東以北の四教区(北海道・東北・東京・長野)や九州の四教区(北豊・福岡・長崎・鹿児島)近畿の四教区(滋賀・京都・奈良・兵庫)が、それぞれ激戦区となっているのが目につく。中でも東京・京都・北豊が、それぞれ一ツの議席に対して三名ずつと定員の三倍という激戦地区となっている。また、このほかの競争教区でも、北海道・東北・岐阜・滋賀・奈良・兵庫・福岡・長崎・鹿児島の各教区は、実力伯仲の候補者が、血みどろの争いを続けているため、終始緊張した選挙戦を繰りひろげていて、中盤戦ではまだ予想を立てるのも困難な状態だ。(『中外日報』昭和三十七年三月三十日)

 『中外日報』(昭和三十七年三月三十日)による「全候補者一覧」は、次の通りである。

 全候補者一覧
  =西本願寺宗会議員選挙= (※印は無競争で当選確定者)

 ◇第一選挙区(北海道)定員一名
   宮崎乗雄(前)
   笠島賢昭(新)

 ◇第二選挙区(東北教区)定員一名
   岡部実城(新)
   北畠教真(前)

 ◇第三選挙区(東京教区)定員一名
   下河辺弘毅(新)
   高辻恵雄(前)
   遠山正欽(新)

 ◇第四選挙区(長野教区)定員一名
   峰川尭昭(前)
   藤岡鉄州(新)

 ◇第五選挙区(国府教区)定員一名
  ※松山天溪(新)

 ◇第六選挙区(新潟教区)定員一名
  ※阿部慶昭(前)

 ◇第七選挙区(富山教区)定員一名
  ※堀 定雄(新)

 ◇第八選挙区(高岡教区)定員一名
  ※海老坂精宏(新)

 ◇第九選挙区(石川教区)定員一名
  ※日谷周暎(新)

 ◇第十選挙区(福井教区)定員二名
   荻 諦忍(新)
   波夛野昭堅(前)
   森 我来(新)

 ◇第十一選挙区(岐阜教区)定員一名
   田中英世(新)
   三宅晃允(新)

 ◇第十二選挙区(東海教区)定員一名
  ※藤沢実晟(新)

 ◇第十三選挙区(滋賀教区)定員二名
   芝原郷音(前)
   藤本恵順(前)
   那須凌嶽(新)
   石原了進(元)

 ◇第十四選挙区(京都教区)定員一名
   中山正信(新)
   清水祐之(前)
   神田達円(新)

 ◇第十五選挙区(奈良教区)定員一名
   亀井探月(新)
   楳生真玄(新)

 ◇第十六選挙区(大阪教区)定員三名
  ※辻 至暁(元)
  ※向橋英雄(前)
  ※松村了海(新)

 ◇第十七選挙区(和歌山教区)定員一名
  ※湯川汝劼(前)

 ◇第十八選挙区(兵庫教区)定員三名
   豊原大潤(前)
   機谷昭嶺(前)
   寺田義淳(前)
   杉本信雄(新)

 ◇第十九選挙区(山陰教区)定員二名
  ※服部成教(前)
  ※朝枝実彬(前)

 ◇第二十選挙区(四州教区)定員二名
  ※後藤敬三(新)
  ※毘奈英典(前)

 ◇第二十一選挙区(備後教区)定員一名
  ※西明地達真(前)

 ◇第二十二選挙区(安芸教区)定員三名
  ※永野鎮雄(前)
  ※筧 良雄(前)
  ※川野三暁(前)

 ◇第二十三選挙区(山口教区)定員三名
   有馬清雄(前)
   柏 宗英(前)
   伊藤義賢(新)
   赤松尚爾(新)

 ◇第二十四選挙区(北豊教区)定員一名
   徳永敏雄(新)
   坂本暁雲(新)
   粟屋迪也(新)

 ◇第二十五選挙区(福岡教区)定員二名
   渡辺静波(新)
   下川弘義(元)
   江田宗昭(前)

 ◇第二十六選挙区(大分教区)定員一名
  ※藤音得忍(前)

 ◇第二十七選挙区(佐賀教区)定員一名
  ※菅原賢仁(前)

 ◇第二十八選挙区(長崎教区)定員一名
   中山憲雄(新)
   神田寛雄(前)

 ◇第二十九選挙区(熊本教区)定員二名
  ※工藤義修(前)
  ※内田寧麿(元)

 ◇第三十選挙区(宮崎教区)定員一名
  ※佐々木正凞(前)

 ◇第三十一選挙区(鹿児島教区)定員一名
   安満了智(新)
   太田淳昭(前)
             (以上六十四名)


# by jigan-ji | 2017-02-21 01:02 | 聖教講読
宗法改定論ノート[17]     2017年 02月 20日

三、総選挙と特別宗会
1、総選挙
 武田総長は第百四十二回定期宗会を三月二日解散し、三月十日、宗会議員総選挙の布告を出した。

 本日宗告第三号をもって宗会議員総選挙の施行期日について、僧侶議員は四月十日、門徒議員は四月二十日に決定し発表致しました。このたびの総選挙は、申すまでもなく三月二日宗会が解散されたため行われるものでありますが、現在宗門の直面している最大緊急の課題は、親鸞聖人七百回大遠忌後の宗門が、如何にして旧来の因習を打破し、同朋教団としての真姿を具現するかその新しい道を見い出すことであります。このため、昨春の御法要以来、各種の会合を通じ或は世論の動向を調査し、宗務刷新の具体的方策について実施し得るものは逐一これを実現して参りましたが、本年に至り宗務刷新の眼目とも申すべき宗門総会の創設とこれに関連する宗会自体の体質改善についての成案を得て、第百四十二回定期宗会に提案致しました。然るところ一部議員の余りにも政治的亜流の駆引により、公開の場において宗務刷新の成否を決し得られないという不幸な事態を生じましたことは周知の通りであります。従って現在の宗会の構成では、宗務刷新についての具体化は不可能との判断から、ここに改めてその方策の可否について広く全門末の総意に問うことと致した次第であります。想うに輝かしい七百一年の第一歩を力強く踏み出すべきこの宗門非常の秋にあたり、宗会議員総選挙が行われるということは、宗門将来の指針を決定する重大な機会であることを充分認識されて、今こそこの総選挙を通じて挙宗一体宗務刷新の実を挙げるべく、選ぶ人も選ばれる人も共に仏祖照覧の下、公明選挙を行い、真に憂宗護法の熱意に溢れる人士を宗会に送って、宗務刷新の使命を完遂し、宗門興隆に貢献せられ、もって内外の期待に応えられるよう特に希望して止まない次第であります。
右布告致します。
昭和三十七年三月十日 総長 武田達誓
               (『宗報』第二一号、昭和三十七年十二月一日)


 さらに武田総長は「総選挙に当たって」と題するコメントを発表した。


 総選挙に当たって 武田総長語る
 このたびの総選挙は、申すまでもなく、三月二日に宗会が解散されたために行われるものであります。ところで、現在、宗門が直面している最大緊急の課題は、親鸞聖人七百回大遠忌後の宗門が、どのようにして旧来の因習を打破し、同朋教団としての真姿を具現するか、その新しい道を見い出すことであります。このため、昨春の御法要以来、各種の会合を通じ、或は世論の動向を調査し、宗務刷新の具体的方策について実施し得るものは逐一これを実現して参りました。そして、本年に至って、宗務刷新の眼目とも申すべき宗門総会の創設と、これに関連する宗会自体の体質改善についての成案を得、第百四十二回定期宗会に提案致しました。この宗門総会案は「宗門は伝道によって成立し、維持され、発展するものである。そして、宗会は直接伝道の機関ではなく、立法機関、議決機関であるが、それが伝道意欲を高揚し、教化活動を旺盛ならしめる機能を持つことは、最も望ましいことであり、また必要なことである」との理念と実践を基礎として立案したものであります。ところが、余りにも政治的術策に走る一部議員の行動により、公開の場において宗務刷新の成否を決し得ないという不幸な事態を生じましたことは、周知の通りであります。従って、現在の宗会の構成では、宗務刷新についての具体化は不可能との判断から、ここに改めてその方策の可否について、広く全門末の総意に問うことと致した次第であります。おもうに、輝かしい七百一年の第一歩を力強く踏み出すべきこの宗門非常の秋にあたり、宗会議員総選挙が行われるということは、宗門将来の指針を決定する重大な機会であることを十分に認識されて、今こそこの総選挙を通じて挙宗一体宗務刷新の実を挙げるべく、選ぶ人も選ばれる人も、ともに仏祖照覧のもとに、公明選挙を行なわれるよう要望します。そして、真に憂宗護法の熱意に溢れる人士を、宗会に送って、宗務刷新の使命を完遂し、宗門興隆に貢献せられ、もって内外の期待に応えられるよう切望して止まない次第であります。(『中外日報』昭和三十七年三月三十日)

 「宗告第三号」も「総選挙に当たって」も同内容である。改めて、「この宗門総会案は「宗門は伝道によって成立し、維持され、発展するものである。そして、宗会は直接伝道の機関ではなく、立法機関、議決機関であるが、それが伝道意欲を高揚し、教化活動を旺盛ならしめる機能を持つことは、最も望ましいことであり、また必要なことである」との理念と実践を基礎として立案したものであります。」と、「宗門総会案」の趣旨を明かした。


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