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慧琳『正信念仏偈駕説帯佩記』(『真宗全書』第三十九巻、465頁) 四声の圏発点(『浄土高僧和讃』) 『増補 親鸞聖人真蹟集成』第三巻144頁 朱の圏発点が付された『浄土和讃』(『増補 親鸞聖人真蹟集成』第三巻71頁) 正信偈講読[57] 補遺⑫ 「能行所行」の四声(シセイ)に基づく解釈 慧琳(1715~1789、真宗大谷派講師)は「本願名号正定業」の「正定業」を解説するなかで、次のように述べています。 行ニ能行所行ノ別有テ。一箇ノ行ノ字。去声ニ従ヘハ所行。平声ニ従ヘハ能行ナリ。選択ニ「依往生経行行」ト云カコトシ。(慧琳『正信念仏偈駕説帯佩記』、『真宗全書』第三十九巻、465頁) 慧琳は「行」の「能行所行」の例示として、『選択集』二行章の「依往生経行行」(『真宗聖教全書』第一巻934頁)の「行行」を、初めの「行」は「去声(キョショウ)」で読めば「所行」で、後の「行」は「平声(ヒョウショウ)」で読めば「能行」であると述べています。 『選択集』の何本にもとづいた圏発点かは未確認ですが、『真宗全書』第三十九巻465頁には、初めの「行」の右上に去声を示す圏発点が、さらに後の「行」の左下には平声を示す圏発点が付されています。 この四声にもとづく解釈は、その後、僧朗(1769~1851、本願寺派の学僧)の『選択本願念仏集戊寅記』に「行の字は上のは所行と為し下のは能行に属す」(『真宗叢書』第六巻653頁)と、さらに鈴木法琛(1852~1935、本願寺派の学僧・元龍谷大学学長)の『選択集概説』(昭和9年、142頁)にも「上の行の字は所行、下の行の字は能行である」と受け継がれています。 ちなみに浄土宗の石井教道『選択集全講』(平成7年第9刷、94頁)では、「之に二釋あり。一に上の行は動詞である。即ち正行(下の行)を行う(上の行)ことの意。二には何れも名詞であって、往生行に種類が多いから行々というたのであるとの意である」と述べています。
by jigan-ji
| 2014-04-10 01:02
| 聖教講読
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