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『朝日新聞』2014年7月16日 安倍首相は「専守防衛を維持することに変わりはない」「自衛隊が武力行使を目的としてかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはない」と断言してきました。 しかし、集団的自衛権行使を認めた閣議決定後の、7月14・15日の衆参両院の予算委員会の集中審議では、中東のホルムズ海峡に機雷が敷設される例を挙げ、「かつての石油ショックを上回るショックになる可能性はある。死活的な影響も考えられ、機雷掃海を選択肢として考える必要がある」と集団的自衛権行使の可否を判断するケースに当たると指摘。岸田文雄外相は、「機雷掃海は受動的かつ限定的な行為だ。3要件を満たす場合には他国の領域内における武力行使であっても許容される。」と言明しました。 「専守防衛」を語り、「海外派兵はしない」といいながら、「中東のホルムズ海峡云々」まで語る安倍首相に対して、「武力行使の新3要件」が歯止めになるとはとても思えません。石油の供給不足という経済的理由で「我が国の存立が脅かされ」るというのなら、「武力行使の新3要件」は、時の内閣の判断で、なんとでも解釈できましょう。 安倍首相はこれまで繰り返し「海外派兵はしない」と言ってきました。しかし、停戦前の自衛隊による機雷掃海は、機雷を敷設した国からすれば、いくら「受動的、限定的な行為」といっても「海外派兵」と認識されますし、国際法上も武力行使とされます。「専守防衛を維持し、海外派兵は許されないという原則は全く変わらない」と、どうしていえるのでしょうか。 安倍首相は自分に与えられた「歴史的使命」を、次のように語っています。 日本は、世界の中で最も成熟した民主主義国の一つなのだから、世界の厚生と安全保障に、ネット(差し引き)の貢献者でなくてはならない、ということです。 日本は、そういう国になります。日本は、地域の、そして世界の平和と安定に、いままでにも増してより積極的に、貢献していく国になります。 みなさま、私は、私の愛する国を積極的平和主義の国にしようと、決意しています。 いまや私にはわかりました。私に与えられた歴史的使命とは、まずは日本に再び活力を与えること、日本人に、もっと前向きになるよう励ますこと、そうすることによって、積極的平和主義のための旗の、誇らしい担い手となるよう、促していくことなのだと思います。(安倍晋三『日本の決意』平成26年4月10日、p27) 「批評するだけの人間に、価値はありません」 「真に賞賛しなければならないのは、泥と、汗と、血で顔を汚し、実際に現場に立つ者です。勇敢に努力する者であり、努力の結果としての、過ちや、至らなさをも、持ち合わせた者です」 米西戦争において、自ら募った義勇兵を率いて、祖国のため戦場に飛び込んでいった経験もある、セオドア・ルーズベルト元米国大統領は、こう語りました。(『日本の決意』p44~p45) 安倍首相のいう「専守防衛」「海外派兵」「平和主義」の定義とは、多くの日本人の持つイメージとはだいぶ異なるように思えてなりません。 自衛官に「泥と、汗と、血」を要求する前に、まず、安倍首相のいう「専守防衛」「海外派兵」「平和主義」の定義を、国民に理解できるよう丁寧に説明する必要があります。
by jigan-ji
| 2014-07-19 01:02
| つれづれ記
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