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浄土真宗本願寺派


住職の池田行信です。
第三百九回臨時宗会のご報告     2015年 05月 21日
   第三百九回臨時宗会のご報告

拝啓 新緑の候、東京教区の御法中の皆様におかれましてはご健勝にて二利ご双行のことと拝察申しあげます。
 さて、去る五月十二日から十四日までの三日間、第三百九回臨時宗会が開催されました。ここにその概要をご報告申しあげます。

  ご教辞
 第三百九回臨時宗会の開会式で、ご門主よりご教辞がありました。
 議員の皆さまには、本日はお忙しい中を第三百九回臨時宗会招集にあたりようこそご参集くださいました。
 最近特に気になりますことは、寺社の建物に油のようなものをかけるという事件が続発していることです。犯人には、仏や神に対する信仰心はもとより、他の人たちの信仰心に対する敬意もないように感じます。その行為が許されないのは当然でありますが、見方を変えれば、社会の中で宗教が本来の意義を果たしているのかということが問われているように思います。
 さて、このたびの臨時宗会では、これからの宗門の姿を決める大事な議案を審議いただきます。現代の社会状況の中で、私たち浄土真宗本願寺派が、親鸞聖人が説かれた阿弥陀様のおはたらきを聞信する念仏者の集まりとして、広く社会にみ教えを伝えるとともに、社会の中で困難な状況にある方に寄り添うことができるようにご審議いただきたいと思います。
 最後に、伝灯奉告法要について触れさせていただきます。伝灯奉告法要は、現在、お寺にご縁ある方はもとより、そうでない方も含めて多くの方にご参拝いただきたいと思います。そして、参拝の方に、お参りできてよかったと心から喜んでいただけるような法要となりますことを願っております。会期中のご審議をどうぞよろしくお願いいたします。

 総長挨拶
 臨時宗会の開会式で石上智康総長より挨拶がありました。その概要は次の通りです。
 大谷宗家のご動静を伺いあげますと、お裏方様にはこのたび第二子をご懐妊なされ、今秋ご出産のご予定である旨承っております。さらに敬様におかれましても本日、四歳の誕生日を迎えられ、今春からは宗門関係学校の京都幼稚園にご入園になられるなど、ご慈愛のもとご成長なされておられます。
 このたびの宗会は、平成二十八年及び二十九年にご修行になります伝灯奉告法要、さらには平成三十五年に予定されます親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要をお迎えするにあたり策定いたしました宗門総合振興計画の推進にかかる諸案件につきまして、議員の皆様のご協賛を賜りたく、臨時に招集させていただいた次第であります。

 「宗門総合振興計画」とその収支計画について
 「宗門総合振興計画」は、「宗門総合振興計画大綱策定委員会設置規程」に基づく第一回宗門総合振興計画大綱策定委員会が昨年四月三十日に開催されて以来、約一年に及ぶ審議を経て、本年四月二十二日に総局へ提出された答申書をもとに、宗会、常務委員会、企画諮問会議及び公聴会等への意見聴取によって広く寄せられた意見も参考としてまとめられました。
 「宗門総合振興計画」は、宗制に定められる「あらゆる人々に阿弥陀如来の智慧と慈悲を伝え、もって自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する」ことを具体化するために三つの基本方針を掲げ、それに従い各項目を重点的に推進実施するものです。
 そのためにまず、仏教や、特に浄土真宗にご縁の薄い方、あるいはまだご縁のない方を含めたより多くの方々に対する働きかけを緊要な課題として捉え、「基本方針Ⅰ、仏教の精神に基づく社会への貢献」を掲げました。これは、宗門が、宗派の枠にとらわれず、また国家や宗教、政治、民族などを問わず、より多くの人びとと協力し、連携を深めた活動を推進し、さまざまな活動の中で、仏教の精神や考え方を広く社会に発信し、その価値観に基づく社会を構築していくよう努めるものです。そのための具体的な取り組みを重点項目として、「宗派の枠を越える仏教界全体の協力体制の充実と宗門内外組織との連携の強化」、「社会活動に寄与する宗門人のネットワークの構築」を設定しました。
 そして、この基本方針Ⅰによる多様な活動の中で、あらたに仏教の基本的な精神に触れた方々が、さらに浄土真宗の肝要であるお念仏申す人生に恵まれ、生死を超え安心のうちに生活できる往生浄土の道を得ることができるよう、積極的にご法義をお伝えしていくことが重要であります。そのために、宗門を構成する僧侶、坊守、寺族、門信徒、さらにはすでに浄土真宗とご縁のある方々がそれぞれの立場で念仏申す人生を歩み、お念仏がさまざまな場で響き聞こえる日常をつくりだし、宗門の輪を社会全体にまで広げていくことが重要な課題であると捉え、その活動を「基本方針Ⅱ、自他共に心豊かに生きる生活の実践」としました。これは、念仏者の生活は、阿弥陀如来のみ心を聞き、お念仏を称えつつ、常にわが身をふりかえり、御恩報謝の生活を営むことであり、同時に、自分自身だけがこのご法義をよろこぶのでなく、あらゆる人が阿弥陀如来から願われたものであるからこそ、そのご法義を伝え、共に生活しようとするお念仏の新たなご縁づくりをめざすものです。そのため重点項目に、「僧侶の本分の励行」、「念仏者の生活実践」、「お寺にご縁のない方々と共に集える開かれたお寺づくり」を設定しました。
 また、この基本方針Ⅰ及びⅡを宗門全体で実践していくための「ささえ」となるべき組織の充実を「基本方針Ⅲ、宗門の基盤づくり」としました。これは、寺院や門信徒の現状は地域毎に異なり、各地域特有の現状や問題を把握することなしに、新たな活動の視座は見えてこないため、連区・教区等とさらなる連携を強め、宗門を構成するすべての人々が一体感を持てる組織をめざすものです。また、全国の寺院運営の問題は、すなわち宗門運営の問題でもあるため、ご法義によって支えられ、ご懇念によって成り立ち、全寺院が共に支える財政方針を明確にしていこうとするものです。重点項目には、「組織の役割の確認」、「宗門財政の確立」、「宗門内外の二ーズに応える施設の総合的検討」を設定しました。
 この「宗門総合振興計画」の推進期間は、伝灯奉告法要と親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要の二法要の修行を軸に、二〇一五(平成二十七)年六月一目から二〇一八(平成三十)年三月三十一日までの三会計年度を第一期、二〇一八(平成三十)年四月一日から二〇二二(平成三十四)年三月三十一日までの四会計年度を第二期、二〇二二(平成三十四)年四月一日から二〇二五(平成三十七)年三月三十一日までの三会計年度を第三期に区分し、継続的かつ効率的に推進します。
 次に「宗門総合振興計画」の収支計画である「宗門総合振興計画推進費」は、平成二十七年六月一日より平成三十七年三月三十一日までの十カ年、二百億円の計画額です。
 まず、収入計画として、第一款一項、一般寺院懇志では住職一人当たり七万円、衆徒一人当たり三万五千円および門徒への懇志をお願い申しあげ、百六十一億円を見込みました。門徒懇志の依頼額の算定にあたって、このたびは、従前の依頼実績を勘案するとともに護持口数の要素を取り入れるなど、過疎地域の現状に従来にも増して配慮したものです。第二項の直轄寺院・直属寺院懇志については、六十二の直轄・直属寺院に合計六億円をお願いします。第三項の特別懇志については、宗会議員・本願寺総代・本願寺参与・講社・宗務員・海外開教区・協賛企業などからの懇志八億円を見込み、懇志総額は百七十五億円となり、収入総額の八十七・五パーセントとなります。
 第二款一項の特別会計宗門振興推進金庫回付金については、現在金庫に積み立てております約二十五億四千万円より、平成二十六年度をもって会計閉鎖しました法統継承費の決算剰余金を含め、二十億八千九百二十八万円を繰り入れるものであり、総額に対して約十・四パーセントとなります。なお、宗門長期振興計画の終結・会計閉鎖に伴う決算剰余金、約五十三億六千万円は宗門振興推進金庫へ繰り入れるべく手続きを進めてまいります。
 第三款一項、雑収入については、利息収入、あるいは指定寄付金等その他諸収入、四億一千七十二万円を計上しました。
 次に、支出計画について、第一款の法要関係費は明年より修行いたします伝灯奉告法要、さらには親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年の慶讃法要にかかるものとして、三十二億円を見込み、総額に対して十六パーセントとなります。その内容は第一項、法要・参拝関係費として法要のご修行と一般参拝等の接遇・対応経費十四億円を見込み、本山へ回付する経費として計上しました。第二項、団参・施設費として、団体参拝の募集や対応経費、境内地の仮施設の設置管理にかかる経費七億円を見込みました。第三項、記念行事費では、ご門主さまの教区ご巡回、直轄・直属寺院ご巡拝及び海外へのご巡回にかかる経費一億円を見込みました。第四項、協賛行事費として、伝灯奉告法要時の境内・門前町における各種行事の経費、さらに慶讃法要をお迎えするにあたって、教区・組における行事への助成金、皆が歌える愛唱歌の制定や広報宣伝費に十億円を見込みました。
 第二款、社会活動推進費として二十二億円を計上、総額に対して十一パーセントとなります。第一項の活動充実費は七億円を見込み、宗派の枠を超え仏教界の各団体との連携を深め社会的課題への対応について知見を集約し、社会へ発信するとともに様ざまな社会不安に積極的に関わろうとするものです。また、国際伝道強化のため海外拠点の設置や海外における仏教教育の充実のため、ハワイ開教区パシフィック・ブディスト・アカデミーの施設の拡充をはかるものです。第二項の活動展開費は、昨年発足しました西本願寺医師の会の活動のさらなる推進をはじめ、各分野において社会活動に携わる宗門人のネットワークを構築するものです。また、ビハーラ活動のさらなる展開をはかるべく、ビハーラトータルプランの完遂と運営強化に取り組むとともに、僧侶の養成・研修制度の創設、ビハーラ活動受け入れ病院の情報収集などの取り組みに十五億円を計上しました。
 第三款、教学伝道・人材育成費については二十九億円を計上、総額に対して十四・五パーセントとなります。第一項、教化推進費は、今後日本社会で求められる僧侶像・寺院像を専門家の知見も得ながら策定し、その育成体系の創出や住職・僧侶として必要な知識及び技能習得を奨励する経費に六億円を見込みました。第二項、生活実践推進費は、門信徒の日暮しの中から次世代へお念仏が相続されるよう、仏事についての手引書の作成、現代版「領解文」の制定、高齢化社会に対応した新たな施策の構築に一億円を見込みました。第三項、伝道推進費は、寺院を拠点とし地域に合わせた施策として現代版寺小屋の実施、宗教的感動を共有できる法要・葬送儀礼の確立、布教線の拡充など、真宗の伝統・しきたりを尊重しつつ現代に即した伝道の開拓などに二億円を見込み、さらに人口集中著しい首都圏特区における開教・伝道活動の計画推進に、積極的支援を可能とするよう二十億円を計上しました。
 第四款、宗務機能整備費には五十七億円を計上、総額の二十八・五パーセントとなります。第一項の組織体制整備費は、寺院の現状把握と自己診断につとめ、現に必要とされる活動などに支援を行うものであり、過疎問題を抱える地域には専属的に取り組む仮称過疎対策支援員を教区へ配置をするなど取り組みを進めていくものです。また、地方組織の現状の点検、改革を進めるとともに、直属寺院においても運営の見直しをはかることとし、十六億円を計上しました。第二項、基盤整備費は、宗門将来を展望する中、現行の宗務体制、業務や組織、さらには各団体の現状を検証し、より効率的組織を目指すとともに、宗門財政の安定化をはかるべく、財政施策の調査研究などに一億円を計上しました。第三項、修復・整備事業費は三十億円を計上しました。これは、国の指定文化財であり国庫補助対象事業となります阿弥陀堂、唐門及び飛雲閣の修復、内事部周辺など本刹整備に十億円、大谷本廟の会館事務所など参拝者接遇施設の充実に二十億円を見込み、本山へ回付すべく計上したものです。第四項、境内地整備費は、北境内地の門徒会館をはじめ、老朽化著しい建物の今後の活用方策の検討や、将来的な整備計画に基づく複合施設の建築を見越し十億円を計上しました。
 第五款、寺院振興費の二十億円は総額に対し十パーセントとなります。第一項の教化助成費十七億円は宗門募財の慣例に従い、教区・組・寺院へそれぞれのご協力に対して、教化助成費を交付するものであり、第二項の扱費三億円は、進納者に対する物品等お扱い経費を計上しました。
 第六款、宗務推進費の二十億円は、総額の十パーセントとなります。第一項、本山事務費の三億円は、本願寺の事務諸経費として本山へ回付すべく計上しました。第二項、推進対策費三億円は、各種会議等開催経費、宗派事務諸経費に、この度の計画策定の趣旨説明や募財の依頼など、総局巡回の実施経費を見込んだものです。第三項、推進事務費は十三億円を計上しましたが、これは各法要に向け特に設けられる事務所の専属職員の経費や、法要時に雇用する人員にかかる人件費です。第四項、諸費の一億円は、募財の勧励実働その他事務経費として見込みました。
 第七款予備費については二十億円を計上し、総額の十パーセントを予備的経費として見込みました。

【伝灯奉告法要の修行日程等について】
 伝灯奉告法要は一日一座、八十日間の法要日程で、一座二千人、合計十六万人の参拝を見込んでいます。その実施期間は二〇一六(平成二十八)年九月秋季彼岸会終了後より十一月まで、並びに二〇一七(平成二十九)年三月春季彼岸会終了後より六月初旬までの恒例法要を除く期間です。なお、本年六月四日から開始予定の総局巡回までには修行日程についてご治定いただくよう事務を進めているとのことです。

【一般寺院懇志等について】
 一般寺院懇志については、住職一人について七万円、衆徒一人について三万五千円で約十四億円が僧侶懇志額となり、門徒懇志としては百四十七億円。各教区に対する門徒懇志依頼額の算出基準は、親鸞聖人七百五十回大遠忌及び蓮如上人五百回遠忌懇志要素五十%、護持口数要素三十%、均等割要素二十%にて算出し、総局より各教区に割り当てて依頼し、各教区で各寺院懇志の割合を決めていただいたものを総局に報告いただき、十月をめどに総局より各寺院に依頼するとのことです。懇志進納に際しても勧励期間ごとの教化助成費の交付を予定。寺院に対する還付率は第一期十五%,第二期十%、第三期五%で、進納額に応じて交付する方向で検討しているとのことです。  

【首都圏開教等について】
 首都圏開教については、宗派として積極的な支援を可能とするため「宗門総合振興計画推進費」において二十億円を計上し、本年度の同予算においては「首都圏対策費」として一億五千万円を計上しました。

 以上、誠に粗略ではございますが、今般の臨時宗会のご報告とさせていただきます。
 時節柄、御身くれぐれもご自愛下さいますよう念じあげます。

  二〇一五(平成二十七)年五月二十五日

                     宗会議員  池 田 行 信

 東京教区
 御法中の皆様へ

※なお、当宗会報告は慈願寺のブログ( http://jiganji.exblog.jp/)でも読むことができます。
by jigan-ji | 2015-05-21 01:02 | 宗会報告
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